青春18きっぷ6つの掟
鉄道の旅には、他では味わえない5つの楽しみがあります。
といっても、そんなにすごいことではありません。
いずれも鉄道で旅に出れば、感じ取ることのできるものばかり。
でも、何気ないことすぎて、十分にその魅力を活かしていないかもしれません。
1.発売期間は3シーズン
期間 | 発売期間 | 利用期間 |
---|---|---|
春シーズン | 2/20~3/31 | 3/1~4/10 |
夏シーズン | 7/1~8/31 | 7/20~9/10 |
冬シーズン | 12/1~12/31 | 12/10~1/10 |
「青春18きっぷ」は通年発売ではなく、発売期間・利用期間が限定されているきっぷです。
例年、上記の期間発売されています。なお、利用期間はそのシーズンのみ有効のため、たとえば春に使い残したきっぷを夏に使うというようなことはできません。利用期間内にどう使うかを、購入前に計画的に考えておくことが必要です。
2.JRグループ6社の快速・普通列車が1日乗り降り自由
深夜0時から、日付が変わった次の停車駅まで、全国のJR 線の快速・普通列車が乗り降り自由になります。加えて、青い森鉄道青森~八戸・八戸~野辺地、あいの風とやま鉄道富山~高岡、IRいしかわ鉄道金沢~津幡間でも、接続するJR線に直通利用する場合に限り、同様に追加の運賃は必要ありません。快速・普通列車で乗り進んでいくことには何の制約もないため、列車が接続する限り、北から南まで自由に移動することができます。もちろん途中下車もOK。「駅前グルメ探索旅行」や「駅前郵便局貯金達成旅行」など、個性ある目的で旅行するもよし、列車にひたすら乗り続けてどこまで行けるか、車窓の変化を楽しみながらレールの音に耳を傾け続けるもよしなのです。
もちろん、普通の移動手段としても有効に使えます。決まったプランではなく、自分なりの旅の演出をしてみたい人にももってこいです。
利用できる種別については、以下の表にまとめましたので、ごらんください。
種別 | 可否 | 内容 |
---|---|---|
快速・普通・各駅停車 | ○ | 自由席車両であれば利用できる。指定席車両は要指定券 |
新快速・特別快速・通勤快速 | ○ | 自由席車両であれば利用できる。指定席車両は要指定券 |
ホームライナー | ○ | 別途乗車整理券(ライナー券)購入で乗車可能 |
BRT(気仙沼線・大船渡線) | ○ | 乗車可能 |
急行 | × | 利用する全区間について、乗車券と急行料金が必要 |
特急 | × | 利用する全区間について、乗車券と特急料金が必要。ただし、例外的に利用できる区間あり。詳細は下段 |
新幹線 | × | 利用する全区間について、乗車券と特急料金が必要 |
寝台特急・寝台急行 | × | 利用する全区間について、乗車券と特急料金・寝台料金が必要 |
特急列車については、普通列車の設定がない、ないしはその運用上、特急がその運転本数の大部分を占めるという理由により、次の3路線・区間を相互発着となる場合に限り、特例として特急列車自由席(奥羽本線は普通列車指定席も含む)の利用を認めています。
・石勝線(新夕張~新得)
・奥羽本線(新青森~青森)
・佐世保線(早岐~佐世保)
・宮崎空港線(宮崎~宮崎空港)
ただし、指定区間を越えて乗車し続ける場合、指定区間前から指定区間まで乗り続ける場合には、特例区間も含めた分の乗車券と特急券の購入が必要となりますので、注意が必要です。
も鉄道で旅に出れば、感じ取ることのできるものばかり。
でも、何気ないことすぎて、十分にその魅力を活かしていないかもしれません。
3.5枚つづり、使い方は自由自在
きっぷは、5回(日)分で11,500円です。このきっぷは普通と違い、5回利用分が1枚になっています。したがって、1人で5回使うことはもとより、2人で2日使い、1人で1日使うことも、5人で一度に使うことも可能です(ただし、同一行程である必要があります)。1枚あたり2,300円ですので、当然2,300円以上の利用をして、はじめて価値が出るものとなります。。
旅に出る日数、人数によっていろいろなプランが見えてくることでしょう。
複数で利用する場合に問題となるのは「同一行程」という項目。5人などのように複数で旅行する場合、出発駅が同一とは限らない場合のほうが大半だと思います。そんなときはどうすればいいのでしょうか。
答えはいろいろありますが、最も効率的と思えるのは、5人ならその5人が集合するJR駅から見て、最も遠い駅にいる人にきっぷを持たせて、その人が順々に仲間のいる駅に途中下車して拾っていけばいいのです。改札口にて乗車する際に「この駅から1人増えて2人になる」旨を告知すればいいだけです。
このあとも同様にして、拾っていけばいいこととなります。
ただし、近距離ではあるもののあまりにも分散している場合や、早朝の集合などで余裕がない場合には、集合駅まで一番運賃が高い人にきっぷを持たせて、あとは自腹で集合のほうが効率的になる場合もあります。
4.名前にだまされるな!?年齢制限のない万人向け
「青春18きっぷ」は「青春」という名がついていることから、「学割を伴う切符」との誤った考えを持ちやすいのですが、この切符を使うための年齢制限はありません。
こども料金の設定もありませんので、損得勘定を抜きにすれば、小学生から高齢者の方まである意味で「平等に」使うことのできるきっぷといえます。
5.シンデレラの法則をマスター
このきっぷには「シンデレラの法則」があります。それは、2の項でも書いたように「0時から、翌日の午前0時を過ぎてとまる最初の停車駅まで」という、有効期間です。
0時を過ぎてもその列車が次の停車駅までとまらない間は乗車日の日付のままというメリットに喜ぶ反面、0時を過ぎても停まらない区間が長ければ長いほど使用開始できないことをも意味します。
このルールは、2日目の旅程のように、前日から青春18きっぷを使って旅している限りは、特段問題はないのですが、1日目のようにまだ使い始めていない場合は、乗車駅から日付変更後までの最初の停車駅までのきっぷをどうするか考えておかなくてはなりません。
たとえば、旅行初日にムーンライトながらに東京から乗車した場合、日付変更後の停車駅となる小田原までのきっぷ1,450円が別途必要で、乗車駅の東京で購入しておく必要があります。一方で、出発駅が千葉だった場合、小田原までの運賃2,210円
が必要となり、きっぷ1枚分に近い額を必要とします。。これでは、を使ってしまったほうが割安の結果となります。同じ1日目の旅行でも、18きっぷの使用回数と乗車駅までのきっぷの購入方法がまったく違うわけです。
ただし、このルールにも特例があります。次にあげる東京電車特定区間と大阪電車特定区間では最終列車終了までが有効期間となります。これは0時以降も比較的運転本数が多く、旅行者の利便性を考慮した結果によるものです。深夜に旅行を終えて帰宅する場合など、とてもありがたい特例です。
6.きっぷは1日自分のもの
東京から名古屋に「ムーンライトながら」を使って青春18きっぷで1週間里帰りしたAさんは、名古屋駅で偶然3泊4日で西日本へ一人旅をするというBさんに出会います。
BさんはAさんの話を聞くなり、よかったという顔をしてこういいました。
「そのきっぷ、もう使わないなら安く譲ってくれ。今日の分と旅に出ている明日からの3日分で計4回、で、最後のAが帰る分で計5回、お前には損はさせないから。」
Aさんは特に残り回数分のことは考えていなかったうえに、時間もまだ早朝。今日はもうJRを使わないAさんは「もったいないから」と快諾して、Bさんに譲ってしまいました。
一見問題なさそうに見えますが、これは不正乗車となり、法に基づいた処罰の対象となります。問題となるのは、Aさんが使った今日の分をBさんが引き続き
使用する点。Aさんが乗車駅(このケースの場合は日付変更後の車内)で入鋏後は、その日の間Aさん以外の人は利用できません。
Bさんがその日にかぎって別途乗車券を購入して旅行し、明日以降に18きっぷを使用するのであれば、問題はありません(当日に旅行者が変わる場合以外の、残り回数の譲渡は問題ありません)。
安く利用できているという恩恵に感謝する意味でも、また鉄道旅行を行う者の最低限のマナーとして、きっぷのルールは守るようにしましょう。